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0話「神影の御子パート導入」



はじめてみたいろは




それ以外には何もなくて

そこには誰もいなくて

そこには誰も来なくて

そこにはただ、その子供だけがいた。


子供は巫女であり、神の子として崇められる御子だった。

だから、誰の手にも目にも触れられない場所に閉じ込められていた。


見ることも

聞くことも

嗅ぐことも

喋ることも

触ることも

思うことも

考えることも

感じることも

味わうことも

何一つ知らない。


子供は真っ白な子だった。

強いて言えば、目の中に突き抜けるような冬の空の色があるだけ。

それ以外は

髪も

肌も

ただただ真っ白だった。


何も知らない白い子供だが
たった一つだけ 知っていることがあった。

誰かが教えたわけでもない
最初から知っていた。


それは


太陽の登りと

月の登りに

祈りを捧げること。


白い子供は毎日祈る。

その祈りは、子供の知らない所で人々に恩恵を与えた。

子供の祈りは、人々の命綱だった。

だから人々は子供を隠した。

自分達だけを守って欲しかったから‥‥。


あるとき

白い子供の目に
白以外の色

白い子供の耳に
無音以外の音

白い子供の鼻に
無臭以外の臭い

一度に沢山の情報が入り混んできた。


いましたよ。ルチル

助かったわ。流石は常闇の候補と言ったところね?

常闇と神影は引かれ合う存在ですからね。まぁ自分は御子ではありませんが。

聞き慣れない音の羅列。

新しい色の一つは、白い子供に近づいてひざまずいた。

お迎えに上がりました。さあ、此処から出ましょう

白い子供は無表情で目の前の色を見つめる。

私が連れて行くわ。‥‥その子の姉だもの

そうですか。外は暁の御子に任せてありますが、くれぐれも慎重に

‥‥勿論よ。何も知らずにただ殺されるなんて、絶対に許さないから

白い子供はもう一つの色に背負われて、はじめての外を体験した。

そのはじめては
沢山のはじめてを繋いだ。

生温かな風は、白い子供にとっては少し暑かったかもしれない。

閉じ込められていた部屋は、まるで冷蔵室の様に冷えていたから。

白い子供を背負った少女は、焼ける村を走り抜けて森へと入っていった。
勿論、焼けた色を白い子供には見せないように。



森の深い黒と青は、森の深さを少女に教えた。

すぐに安全なところに連れていってあげる

しかし、少女はそれに臆することなく走る。

だが‥‥暫くすると、少女は減速してぴたりとその足を止めた。

やはり来たか

誰かが、待伏せていたのだ。

そこは森の中にある小さな広場で、一面に淡く輝く百合のような花が咲いていた。

少女は囲まれていた。

誰も助けには来られない。

間に合うはずもないのだ。

ルチル、神影の御子をこちらに

嫌だ。渡したらどうなるか、私は知ってる!私たちが子供だからってごまかされない!!

‥‥そうか。ならば仕方がないな

多くは語れない。

ただ、白い子供が意識を失う前に知ったのは‥‥






残酷な

赤黒い色だった。




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