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0話「獣の子パート導入」



二人はいつも一緒だった。

どちらかが欠けるだなんて、思ってもみなかった。

ただ

ただ

二人で過ごす時間が永遠で

当たり前で

変わらないのだと、勝手に思い込んでいた。


二人の少年は双子で、ものごころついた時には“人の親はなかった”。

双子を育てたのは野生の狼で、二人は狼として育てられた。

広い草原を駆け

粗い岩場を跳び

痩せた土を踏む

ある日双子は狼に狩りを教えられ
双子は自分達だけでやってみたいと狼に言って巣を離れた。

この日を境に狼と双子は引き離され、双子は人里に移ることになった。


最初は慣れなかった人としての生活も、数年もしたらましになった。

語尾が自分たちの名前の一部という不思議な喋り方をしていたが
そんなことは、たいしたことではなかった。


秋が深まるころ、祭典の為に薪を集めてくるという大役を任された子供たちが森を訪れた。
この森は山の中にあって危険な崖も多く、普段は立ち入れない場所だった。

薪になりそうな水分の抜けた枝をかき集め、日が傾く前に帰ろうと相談していると
子供たちの前に大きな黒い熊が現れた。

子供たちは動揺した。

ここで食べ物でもつめたリュックか何かあればよかったのだが
熊の足止めをする為に投げられる荷物が、枝しかなかったからだ。

子供たちにのそりと近づく熊の前に、双子が飛び出し他の子供たちを逃がした。

子供たちが逃げたのを確認した双子は熊との対話を試みたが
双子にはもう野生の言葉を話すことは出来ず、
熊も双子に話し掛けてきたが、双子にはこれもわからなくなっていた。

熊は話が通じないとわかると、無言で双子についてくるように促す。

双子が少し困惑しながらも熊についていくと、そこには双子を育てた狼がいた。


狼は衰弱していた。

狼は双子たちが来たのに気が付くと少し顔を上げて双子を見て、クゥと一つ鳴いた。


数10分した頃、そこへ村の大人たちが現れた。
双子を探しにきたのだ。

双子はその時いなかった。

狼に食べ物を探しに行っていたから。

大人は狼の近くに落ちていた真新しい残骸を見て誤解する。
あの双子が襲われたのだと。


双子が狼の元へ戻った時、狼は絶命していて
周りでは動物たちが集まって、大人たちと乱闘していた。

双子は戦慄した。

何故こんなことになっているのか一瞬わからなかったが、もう一度狼を見て理解する。

狼は大人たちに‥‥

突然、双子の弟が地面を蹴った。
そして双子を導いた熊を撃とうとしていた大人の銃に飛び掛かる。

大人は驚いた。

双子が戻ってきたことで、乱闘は止まった。

しかし‥‥

双子の弟は、狼の前に立って大人を睨みつけたまま動かない。
動物たちも双子の弟を守るように盾となり、大人達に威嚇する。

双子の兄は大人に掴まれ、威嚇してくる動物たちから逃げ出した。




二人で一つだった 双子は
生まれて初めて道を違えた。





これが、凡そ三年前の話。


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