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○第二章第十九話「戦争5」

ブルータスの告白









次々と増える相手に対して、私とフローライトさんで対応する中
ネメシアとコーレアは、ブルータスと対峙していた。

「ごめんねぇ‥‥」

ぽつりと再び零すブルータス。

「何故謝るのですか? B様‥‥」

「嫌だなあ、今は私よりもキミたちの方がSCが上ですよ?」

「そ、そうですけど‥‥っ」

「それに、私は2人に謝り、決着をつけなければなりません。」

そう、その機会を逃したら、後がないから。

「‥‥‥‥。」

ネメシアは構えたまま動かない。

「謝る? 決着?」

困るコーレア。

私は、この話を知っている。
だからこそ、聞きたくはなかった。

フローライトさんは少し気になっていたようだけど、戦闘に集中してもらった。

「あの話は、私たちが聞いていい話じゃないですから‥‥。」

「‥‥‥‥。」

私は青年に借りた素早さで敵に突っ込み
同時に腕のレーザーで切り裂く。

データ人間とはいえ、一瞬で焼失する時の臭いはすさまじいものがあった。

でも‥‥今は涙も出ない。

敵も、どこかでこの戦いに勝っても負けても
消えてしまう運命なのだと判っているか
がむしゃらのようで、なんだか切なかった。

でも‥‥今は言葉も出ない。





「そん、な‥‥B様が‥‥お父様を‥‥」

「‥‥‥‥。」

「母親のサファがコミーであることがバレて処刑された後の話ですよ。
 オーリアは、自らコミーであることとマザーズ所属であることを高々と叫んだのです。
 だから、ある意味では正当な処刑だったということになりますねぇ。」

コーレアは、ショックを受けていた。
父親を処刑した人が、ずっと自分を育てていたことに。
そしてそれに、自分が気がつけなかったことに‥‥。

ネメシアは、相変わらず何も言わない。

「侶佳様は、暫くお会いしませんでしたが‥‥見てすぐに判りましたよ?
 あなたは、サファにそっくりですからね‥‥。」

「‥‥‥‥。」

「それにそのイヤリング‥‥何処で入手したのやら。それはオーリアの遺品ですよ。」

「‥‥父上の‥‥」

「ええ。そして旅歌のマフラーは、逆にサファの遺品です。」

「‥‥お母様‥‥」

最期に語られた真実だった。

「さあ、戦って下さい。 反逆者だったとはいえ、父の仇を今、ここで取るのです!」

ブルータスが能力を発動させて、狂気モードに入る。

彼はミュータント能力が低過ぎるため、ほぼ確実に能力は失敗するのだが
今回は敢えてそうしたのだろう。

そうでもしないと‥‥本気で戦えないと、判断したのだろう。

「ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!」

響き渡るブルータスのおたけび。

その手に持った巨大な斧は、触れただけでも斬れそうな位な刃だった。

ネメシアとコーレアも、物理武器へと持ち替え‥‥やっと戦闘を開始した。




それを背中で聞いて、苦しそうな顔をするフローライトさん。

「‥‥フローライトさんも、両親の仇を取りたかったですか?」

「!」

今は何処で何をしているのか、生きているのかさえ判らないフローライトさんの両親。
私の記憶が正しければ、母親だけは今もマザーズにいるはずだ。

フローライトさんは、黙って首を横に振る。

フローライトさんは、あの双子の従姉に当たる存在だけど
両者はそれをまだ知らないらしい。

でもオーリアの噂だけは、フローライトさんも知っていた。

マザーズに居ながら、女性の逃亡を手助けしていた‥‥と。

そのうちの1人が、フローライトさんの母親だ。

私が敢えて過去形にして聞いたのは
この状況で仇も生きているかどうかすら判らなくなっていたからだった。

「‥‥そうですか。では、τへ無事に移住できる人が少しでも多くなるように。」

「ええ。‥‥頑張りましょう。」

フローライトさんの弓技と、私の砲撃が炸裂した。

後ろで戦闘している、ブルータスたちの邪魔をさせるわけにもいかないので
時々四足歩行モードにしてシールドで範囲攻撃や長距離攻撃を防いだりしていた。

「なんだあの半獣は!!」

「聖騎士怖い!」

「市民、最後まで完璧で幸福でありなさい‥‥!」

私には、それ以外に言えることはない。

彼らにとって、そうすることでしか生きられないこんな世界が憎いから。

そしてこうなったのも‥‥
私が元々居た時代から発展し始めた技術が関係しているのだろう。

もしもあの技術が途中で消えてさえ居たら
こんなことにはならなかったかもしれないのに。

まあ‥‥ここが本当に未来の世界なのだとしたら‥‥だが。

私は元の世界のことを殆ど忘れているけれど‥‥
ここが未来でも、異世界でもなく、私が見ている夢だったら良かった。

或いは

私自体が夢なのなら




力のないネメシアは拳銃での戦闘になってしまっている為
接近戦はコーレアが担当していた。

巨大な斧をいとも簡単に振り回すブルータス目は血走っていて
どんなに傷つこうとも、不気味な笑みが絶えなかった。

「ズイ分ト強くなったじゃナイですカっ!」

「みんなのお陰ですわ‥‥っ!」

物理用の短剣二刀流と、
ブーツのレーザー機能を切って普通の刃にしているコーレアは
舞いながらブルータスを攻撃するも、その大半は彼の斧に防がれていた。

少しでも気を抜けば、彼の斧の餌食になってしまう為
突っ込んだ攻撃をしても多少動ける余裕は残しておかなければならないから
まだ本来のSCがRであるコーレアにとっては、かなり難しい戦闘だろう。

重たい風が吹いたような音と共に振り下ろされる斧。
振り下ろされた先の床が思い切りえぐられ、広範囲にひび割れが発生した。

(あの斧、普通の斧じゃないな‥‥)

私の判定からして、あの斧にはミュータント能力が付与されている。

恐らく重力地帯生成‥‥
威力を高める為に、振り下ろした時だけ発生するようになっているのだろう。

数秒して、ひび割れした所が一気に割れて飛び散った。

斧が振り下ろされた時に飛び退いてそれを避けたコーレアだったが
流石に此処までは避けられなかったらしく、破片でダメージを受ける。

それもそうだろう。
斧の周囲2mは重力が増加しているので体が重くなっていたはずだから。

「コーレア!」

「っ‥‥だ、大丈夫ですわ!ネメシア兄様。」

「あハっ‥‥サファが付けソウナ名前でスよぉホント‥‥。」

「「‥‥‥‥!!」」

ブルータスが斧を持ち上げると同時に、重力地帯生成の効果が切れ
コーレアは負傷した体を引きずるように後ろへと再び飛び退いた。

聖騎士の時はリジェネーターを使えるので、ふわりとした光に包まれて傷が回復する。

でもそれはブルータスも同じで、2人がつけた傷は少しずつ回復していた。

と、そこへ‥‥

他の来訪者が来た様で、戦闘外のハズのところが急に騒がしくなった。

「なんだ?」

後ろを振り向こうとした敵が、その瞬間蒸発する。

「!」

私たちの視線の先にいたのは
ウィキペディアンリーダーのミゲイル
サイオンリーダーのエレンシア
植木屋さん、タケ(!?)
そして、コーレアが先生と呼んで親しんでいるユマニストリーダー
トレッキーのエメリアだった。

「oh!トッテモ、トッテモ、幸福デース!マタ、会エマシタネー!!」

ハイテンションなエメリアは、人形を投げる準備をしている。
その矛先は、ブルータスだった。

「ブルータス、ワタシはアナタを、赦ス訳ニハ行カナクナリマシタ!」

エメリアも、真実を知ったのだろう。
恐らく、漏らしたのはミゲイルだ。

長い髪を、パサリと手で後ろに流すミゲイル。

「応援に来たわよん。候補者さん♪」

「ったく、こんな重要人物だったなんて驚きですよ?」

クスクスと笑うエレンシア。書いてるけど、名前を知るのはこの後だったりする。

「エレンシアさんは2人とお知り合いだったのですね。」

「あら、そういうタケさんもチームだったじゃないですか?」

植木屋さんの名前を初めて聞いて、竹かよと思ったのは私だけだろう。
旧世界知識万歳。

唯一軽い笑みを浮かべたまま喋らないのは、コーレアの先生だ。

「せ、先生‥‥」

「ジャ魔が入っちゃっタねぇ‥‥。」

「全員、此処から逃げてください!」

この建物の中に居ること自体、もう危険になっている。

パージが座標を特定して
衛星を使ってミサイルでも打ち込めば、木っ端微塵だろう。

「子猫ちゃん達が頑張ってるのにアタシ達だけ逃げるってのもねぇ?」

「ミゲイル、仮にも上位SCですよ?」

「あはん♪」

「UV様も、非戦闘民も大変だというのに‥‥」

ため息をつくしかない反応を返されたが、今はこの建物内に居る敵の一掃が先だ。

「え、エメリアさま?」

困るコーレア。

「ブルータスは、ワタシの弟ヲ亡き者ニシマシタ!ソシテ貴女達2人は、其ノ弟ノ忘れ形見デス!」

「お、おばさま‥‥?!」

「oh!お姉サーンと呼ンデ欲シイデース!もうソンナ歳じゃナイデスケドネ~~!!」

ブルータスは、これで3対1だ。エメリアは止めたって割り込む。
相手が全員上位SCになったとはいえ、全員物理武器を使っているので
そこまで不利にはならない所が怖い。

いや、逆に言えば
レーザー(エナジー)系の武器が猛威を振るい過ぎていたのだろう。

だからどんなに非力でも、上位SCは粗安全で居られたのだ。






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