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○第二章第五話「ブルータスの不安」

どうもー。
この世界が偽りでなくても
自分たちが偽りの作られた存在であることを知りながら
それでも完璧で幸福を装う市民たち。
彼らの中の不安は、何処にどのようにして存在しているのか‥‥

ブルータスの最近の不安は、最近の妹さんにありました。







「旅歌~?」

俺は、朝食の準備をしている旅歌の背中に向かって声を掛けた。

ラジオからは、旅歌が毎朝かける朝の放送‥‥
旅歌の双子の兄である、侶佳様の放送が流れてきていた。

「どうしましたの?B様。もう少しで朝食が出来ますわ。」

「こっちも、飲み物が入ったからねぇ。冷めない内に飲もうー。」

「はい♪」

真っ赤なワンピースに、真っ赤なエプロンをつけた旅歌。
長く伸ばされた銀髪は、結っていても旅歌の小さな背中の殆どを隠していた。

「できましたわ!どうぞ、B様。」

しっかりとした笑顔を俺に向けて、旅歌がテーブルへと食事を運んで来る。
そして並べ終わると、俺の向かいの席へと座った。

「ありがとう、旅歌~」

俺は、コーヒーの入った赤いカップを旅歌の方へと押すと
自分の青いカップに黒砂糖を少し入れた。

「ありがとうございます、B様♪ 今日もいい香りですわね‥‥」

コーヒーの香りは、俺も旅歌も好きだ。
変わらない、いつもの朝。

そのはずなのに
俺は旅歌に対して、少しの違和感を覚えていた。

トラブルシューターのチームが変わったからではない。

双子の兄の侶佳様と再会できたからでもない。
(確かに前よりも元気になったけれど、そう言う違いではない)

軽食喫茶Q0(クイーン・ゼロ)に通うようになってから‥‥だろうか?

いつも見ている旅歌が、いつも見ている旅歌に見えなくなっていた。
でも、何がどう違うのかは、判らない。

俺は、朝食を摂る旅歌をじっと見つめてコーヒーを口に運んだ。

「B様、仕事に遅れますわ。」

「あー。そうだねえ。でも、朝は旅歌の顔を眺めないとねぇ。」

「いつも仰いますわね? でも、B様がそうしたいのなら私は構いませんわ。」

「うんうん。旅歌は俺に眺められてればいいんだよ~」

一体、何が違うのだろう?

大人びた?

いや‥‥

「ねえ、旅歌ー?」

「どうしましたの?」

「旅歌は、仕事が終わってから、すぐは家(ここ)に帰らないよねぇ」

「ええ‥‥」

「何処に行っているのかなぁ?」

俺がそう聞くと、旅歌は少し困ったような顔をした。

原因は、これか‥‥?

「B様、わたくし、トラブルシューターでしょう?」

「うん、そうだねえ。」

「完璧で幸福なミッションをこなさなければなりませんわ」

「うん、うん。」

「だから、その‥‥授業を受けていますの」

「授業?」

「はい。どんなことが起きてもいいように、色々な想定で、訓練をしてますの」

「ほぉ~~、誰が講師なんだい?」

「ウィン様とQ0の社長のV様、それと‥‥」

「‥‥‥‥」

「オフの時のお兄様、ですわ。」

「なるほど、そっかそっかー」

「ご、ごめんなさいB様‥‥なかなか言い出せなくって」

「いや、いーんだよー。トラブルシューターは誰よりも完璧じゃなきゃいけない。
 その為に旅歌が頑張っているんなら、俺はとっても嬉しいねぇ」

「B様‥‥」

黙っていたことに関しては、正直に悔しいと思う。

でも、何故いきなり訓練なんかしだしたのだろう。

俺に頼んだっていいはずだ。

なのに、何故V様3名に‥‥?

謎だった。

訓練をしているというのは、確かだろう。

見た目からしても、少したくましくなった気がするからだ。
表情も、前とは少し違う。

「ただ‥‥」

「?」

「俺でも指導は出来るよ~?」

「確かに、爆弾はB様の方がお得意ですものね」

「うんうん。あと、侶佳様だと素早過ぎると思うよー?」

「う‥‥確かにお兄様は素早過ぎますわ。それに射撃技術も‥‥」

それでも、侶佳様がいいのだろう。
俺にだって、それくらいは判る。

「でも、近付きたいんだよねぇ?」

「‥‥はい。」

「‥‥‥‥。」

俺の手を離れる日が、少しずつ近付いて来ている。

俺は旅歌を離したくない。

ずっと一緒に居たい。

でも、その為に俺は、侶佳様を手に掛けることができるだろうか?

‥‥答えは否だ。

旅歌が怒り悲しむのが判る。

そして犯人が俺だと判ったら、旅歌はそれこそ俺から離れていくか
俺を敵として向かってくるだろう。

そうしたら、俺は旅歌のことを仕留めなければならない。

‥‥できるだろうか?

答えは、否。

「頑張るんだよー」

「はいっ!」

いつか、敵になるかもしれない旅歌を

俺は応援するしかなかったんだ。




※気が向いたら挿絵、後で挿入します。
※フィクションです!フィクションです!くしゃみの効果音ではありません(
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