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○番外編「旧世界人ニイナ」

αコンプレックスに現れた、旧世界人ニイナのお話。
※一部訂正しましたorz








「ここ、何処や‥‥?」

ウチは、視界一杯に広がった見たことも無い世界を前に
何度も瞬きを繰り返し、何度も目をこする。

何度やっても目の前の景色は変化しない。

何度自分の頬をつねっても、ただ、痛いだけやった。

「ここ、何処や?何処なんや?何なん?夢とちゃうん?痛い、夢やない‥‥?」

いや、夢でも痛みを感じることがあると聞いたことがある。
きっと今のウチは痛みを感じるんや。
ウチは、そう思い込んだ。

だから、少し時間が経てばすぐに目が覚めるもんなんやと、信じてた。

「と、とにかく、探索や。夢の中やって何もせんのは勿体無いし」

ウチは、その場からトコトコと歩き出す。
そして、ふと気がついたことがある。

ウチの今の格好は、同窓会に着ていった黄色のミニドレス。
そして、右手の中に紙が握られているのを確認した。
‥‥「AKITA」の紙だ。

「思い出した‥‥ウチ、AKITAやったんや」

AKITAの話を同窓会で聞いたウチは、面白半分にその場でAKITAの紙を書き
帰ってそのまま寝てしもうたんや。

「ど、どないしよ‥‥ってことはこれ‥‥異世界なんか?」

異世界なのか、はたまた、どこか別の国なのか‥‥。
別の国だとしたら、何処なのだろう?

見る限り、文明が異常に発展しているようにも見えなくも無い。

辺りには、機械らしきものがうようよしているし
遠目に高速の電車らしきものが走っているのも見えた。

その上、スカイツリーよりも、はるかに高いビルがいくつもある。

そして、そんなに発達している見た目に反して‥‥
銃撃音や、爆発音が響いていた。

「どうしたらええんや‥‥ も、もう一回寝直したら戻るんかな?」

いや‥‥折角別の場所に飛べたのだ。
もう少し此処にいて見てもいいのではないか?
ウチは、そんな風に考えた。

と、そこへ

「市民、こんな所で何をしているの?もうすぐ消灯の時間よ。」

誰かが現れた。言葉も通じる。

「あっ‥‥すんまへん。 えっと、消灯?」

「そうですよ。市民たるもの、消灯の時間には家に居なくてはなりません。
 そのくらい、完璧な市民なら判っているはずですね?」

話しかけてきた女の人は、青い服に身を包んでいた。
おまわりさんやろか?しかも言葉が通じてるみたいやし‥‥

「ウチの言葉、判るんですか?」

「は? 判るに決まっているでしょう。
 それとも、あなたは何かへんな言葉でも喋っているつもりなのですか?」

「い、いや、そんなつもりやあらへん。ありがとさん。」

疑うような眼差しに寒気を覚えたウチは、慌てて笑う。

しかし、消灯の時間には家にって‥‥
ウチ、家ないやんか。どないしたらええのん?

「さあ、もう帰りなさい。」

「は、はい。」

判らないまま、言われるまま、ウチはまた移動を開始した。

どこか室内に居れば良いっちゅう意味なら
どっか適当なトコに入り込めばええ話。

もしもそこで誰かに見つかったら、何か言い訳をすればええことやろ。

簡単に考えすぎていたかもしれへん。
でも、でも、ウチにはそれしかなかったし、結果的にはそれで平気やった。

ウチは侵入した先で、ロマンテクスという結社に匿われ、そして入社した。

「ニイナと言うのですね。良いお名前ですわ。」

「あ、有難うございます。」

「SCは‥‥見た所Yのようね。」

「SC?」

聞いたことだけはあるけれど、それは見た目で判ることやったやろか?

「何か言いましたか?市民ニイナ」

「い、いや‥‥」

え、質問したらあかんの?
ウチは、少し混乱する。

色々と質問をされたので答えると、話し相手は目を輝かせ始めた。

「まあ‥‥市民ニイナはまるで本物の日本人のようね。
 なりきれすぎていてちょっと怖いけれど、素晴らしいわ。」

「ええと、ウチ日本人なんやけど?」

「ふふ、でもそれを言っていいのはこの結社の中だけ。」

「そうなん?」

「ええ。外で言ったら、SC違反だとかなんだで略式処刑されてしまうわ。」

「え‥‥」

りゃ、略式処刑って何?!処刑されてまうん?それって

「そ、それはアカン。」

「ええ。 旧世界の情報は通常SCがB以上の者だけが持つものだから」

旧世界?

「でも、まさか此処に来る前に既に旧世界の知識を持った人がいるなんて
 夢のようだわ。これから宜しくお願いするわね、市民ニイナ」

なんだか、危険でおかしな世界に来てしまったらしい。
ウチは、すぐにでも帰りたかったんやけど‥‥

「で、その手に持って居るものは何かしら?」

「え?」

ウチがずっと握り締めている紙を、見つけられてしまった。

「それは私が預かるわ。貴重な旧世界の文献と見られるから。」

「あ、ちょっと‥‥」

そして、強引にウチの手からAKITAの紙をとって行ってしまった。

ど、どないしよ‥‥。

でも、日本のことを少なからず知っている人に会えたのは好都合や。
‥‥そう思うことにして、ここにお世話になることになった。

暫くそこで過ごす内に
この世界のことをなんとなく理解できるようになってきたウチは
歩き回って色々なことを勉強した。

そして、トラブルシューターというへんなチームに入れられ
仕事をすることになった時、悪夢を見ることになったんや。

「‥‥な、なんやそれ!」

市民全員が銃を持つ世界、まるで米国だ。
でもそれは、此処に来てすぐに覚えたことなのでまだいい。

その銃を、同じチームの人間に向ける行為があったのだ。

それ、ただの仲間割れとちゃうんか?!

戸惑いを隠せないウチに、1人の男が話しかけてきた。

「ニイナ、どうした?Yならトラブルシューターが始めてってことはないだろ?」

「えっ‥‥いや‥‥ウチは‥‥」

「? ‥‥まさか、Yから始まったのか?」

「そ、そうやねん。実はそうやねん!」

「うわ、そりゃまた運が良いと言うか悪いと言うか‥‥」

その男は、内緒話をしているにも拘らず豪快に笑った。
豪快に笑っているけれど、ウチ以外のメンバーにはその笑い声は聞こえていない。
なんや、器用なやっちゃな‥‥。

ロマンテクスの人には言うなって言われてたけど
この人になら言っても良いかもしれへん。

ウチは、すぐにその男を信じてしまった。

そして、トラブルシューターの仕事中は大抵その男と行動を共にし
時々UV様と呼ばれるこの世界の総理大臣みたいな人と連絡しあったりして
この世界の仕組みと、ウチが本当に別の世界に来たのだと理解した。

市民証とレーザーガンをトラブルシューターになった時に受け取ったウチは
初めて自分の身体能力が数値化されているのを目にした。

「うわ、まるでゲームみたいやな」

ワクワクする反面、ちょっと怖い。
こうして自分の能力を数値として見ると、自分の欠点がよく判ってしまう。

「感受性3とかメカ適応5とか、落ち込むわなあ」

足の速さと器用さには自信があったんやけど(能力値の)数値は17。
‥‥ここでは高い方なんやろか?よーわからん。

それを男が覗き込んでいたようで「おー」と一言。

「っ!! いつから見とったん?!」

「んぁ?さっきっからだよ。へえ、器用と俊敏高ぇじゃん」

17は高い方らしい。

「そっちはどうなん?」

「俺?俺はこんな感じ」

男が見せてくれた市民証にも、同じようにずらりと数値が並んでいた。

「‥‥幸運1て‥‥なんやそれ?」

「しゃーねーだろ。俺、凶運のクラウンって呼ばれてっし」

道化師か‥‥。

「でも、MT能力すごいんやな。あと筋力とかも。」

「まーな。」

男のMT能力は20、筋力は18あった。
どうやら、20が限度らしいのだが、職場によって20を越えることもあるようだ。
そういえば、ウチも武装集団に入ったので筋力が少しついた気がする。
(但し、能力値ではなく、そこから算出される基本値が上がっただけ‥‥)

「ぷっくく‥‥メカとかウチより低いやん!」

「笑うな!感受性なんか俺よりニイナのが低いじゃん!」

他のメンバーは怖かったけれど、この男だけは怖くなかった。

ウチは、旧世界人であることを隠して、そのまま生活を続け
男と戦闘訓練をして、どんどん強くなっていった。

色々し話もした。

ウチは、ウチの身の上話を男にしていたけれど
男は単なる妄想やと思っていたらしい。

まぁ、その方が好都合なんやろな。

でも、言えないこともあった。
それは‥‥ウチの記憶がどんどん消えていってしまっていることやった。

自分でも認めたくなかったというのはある。
だから、口に出すのも、考えるのも嫌やったんや。

その所為か、ウチは色々な話題を男に提供した。
それは、市民として反逆行為であるミュータント能力に関しての話題も含まれていた。
‥‥とはいっても、能力の話題は自分たちが札をとってから話していたので
特に問題はなかったんやけどな?

男は、ウチの能力に激しい興味を示していた気がする。

人の行動が判るって、すごいことや。
それは、ウチも思った。

サイコロの音、五月蝿いんやけどな?(笑)


男がカタナで前衛、ウチが大砲で中衛を務めて連携をとるようになって
そうして、ウチらのSCがあとちょっとでIになろうとしていた時のこと‥‥
ウチは、その男に呼び出されて、告白された。

ウチは、元の世界に帰りたい気持ちもあったけれど
少なからずその男に好意は寄せていた。

だから‥‥二つ返事でOKをだした。

不安もあったけど、嬉かったんや。

嬉しいって方が、大きかったんや。

それなのに‥‥

男は次の日に姿を消してしまい、誰も見ていないという日が続いた。

そして

ウチに関する変な噂が流れ始め

ウチは、結社本部の一室で隠れるように過ごすことが多くなった。

ウチは何もしてへん。

ウチは何もしてへん。

そう

何もしてへん。

閉じこもる日々が、1ヶ月近く続いて
ロマンテクスのリーダーがウチの部屋のドアを叩いた。

ウチが、知らぬ間に部屋から出ているとリーダーもメンバーも疑っている。

なんて説明しても、聞き入れて貰えんかった。

ウチは、デスレパのスパイだと言われた。




ウチは、その場で処刑された。





※気が向いたら挿絵、後で挿入します。
※フィクションです!フィクションです!くしゃみの効果音ではありません(
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